ITに強くなるためのチェックリスト(4):クリエイティブ

チェックリスト

第4回のテーマは、「クリエイティブ・生産」です。デザインやプロダクションと言っても良いですね。

デザインというと、見た目の良さ、かっこ良さ、美しさだけにとらえられがちですが、本来、Design には、意匠、設計、計画、企画といった意味があります。経営におけるデザインの重要性は年々高まっています。

デザインやクリエイティブについて広義には考えておきたいことがたくさんあるのですが、今回は IT 活用との関連で重要なポイントについて解説します。

近年、多様な分野において、データからダイレクトにものを生産することが可能になりました。1990年代、DTP(Desktop Publishing)と呼ばれる技術により、パソコンで印刷物を作れるようになりました。 Macintosh というパソコンとレーザープリンタの登場は画期的なものでした。その後、PostScipt という印刷用の定義言語の進化により、印刷用の版下データの制作も行えるようになりました。

2000年代に入るとネットプリントのサービスも普及し始め、現在では従来では考えられないような低価格・短納期で、印刷物の制作が行えます。これと同じことがあらゆる分野で起きています。

弊社では、制作するカタログやチラシ、製品パッケージ等の印刷物はもちろんのこと、販売展示用の什器や治具制作(アクリルや樹脂製)、電子基板製造、計測機器の樹脂ケース、金属治具の加工など、事業活動のあらゆる分野において多様なネットサービスを活用しています。DTPソフトやCAD(Computer Aided Design)ソフトを利用することで、従来とは比較にならないほどの低価格・短納期で、多様な物品を調達出来る時代になったのです。

こうしたクリエイティブの世界では、Adobe がデファクトスタンダートとして有名です。みなさんもPDFを利用する機会があると思いますが、PDF等の基盤技術であるPostScriptを提供している会社がAdobeです。Adobe Creative Cloud シリーズには、写真加工の PhotoShop、グラフィックソフトのIllustrator、DTPソフトのInDesignなどがあります。

CADソフトでは、AutoCAD や Fusion 360 、VectorWorks などがあります。CADやDTPソフトを活用することで、自社のクリエイティブ能力が向上し、コスト削減、機動力アップなどが行えるのです。

クリエイティブに情報技術を活用することは、変化の激しい事業環境にあって、重要な武器となります。CADやDTPソフトによって、制作物のデータから作られていれば、その一部を改変することも容易です。個客毎、市場毎に派生品を制作することも行いやすくなります。

こうしたデジタル化によるものづくりの恩恵を活用する視点も大切にしたいポイントです。弊社では、デジタル工作機器を活用したものづくりにも取り組んでいます。ENWITのグッズ制作事業においては、布に直接プリント出来るガーメントプリンタ、金属製品に加工が可能な電解マーキング装置、陶器や布にプリント出来る昇華転写プリンタなどを活用することで、多品種小ロット生産を可能にしています。

IoT システム開発では、電子基板設計ソフトのEagle、金属加工や治具制作では 3D CADソフトのVectorWorksやFusion 360 などを活用しています。

ENWITでは、 ものづくりのデジタル化コンサルティングも行っていますので、ご相談ください。

みなさまの事業においても、事業活動全般を見直し、デジタル化、データ化することで、効率化出来ること、コスト削減出来ること、価値を高めることが出来ないか。クリエイティブに関連するデータを考えてみましょう。

■ クリエイティブデータ
□ 自社の生産および調達活動はデジタル化されていますか
□ CADやDTPデータなど、生産・製造に関わるマスターデータを管理していますか

今回はビジネスの供給サイドからITを考えてみました。商品やサービスを生み出す上で鍵となるモノや情報は、デジタル化することによる恩恵も大きなものがあります。レシピやノウハウ、図面や設計仕様書、コンテンツ(写真・音声・映像データ)等、デジタル化、データベース化し、マスターデータとして管理することが出来れば、競争力強化の大きな力となるはずです。

次回で IT に強い経営者となるためのチェックリストも最終回となります。第5弾は、「全体最適」です。