デジタル化に必要な人材イメージ

システムを使える人・いじれる人・作れる人

さて、IT人材を考えるとき、どのようなスキルを求めるか、明確にすることが大切です。まずは、使える人から作れる人まで、5段階でイメージしてみましょう。

一番左側の使える人、というのは、ツールを渡されれば、マニュアル通り、指導した通りのことは出来る人というイメージです。

左から二番目は自分で業務に必要な技術やサービスを見つけて、自発的に学習して自分で使えるひとです。

一番右の作れる人、というのは、プログラムを書けて高度なカスタマイズも出来る人とします。

ここの中間ぐらいの人材が、DX では鍵を握っています。

なぜなら、右側でプログラムを書く必要はどんどん少なくなってきているからです。普通のビジネスでやりたい、たいていのことは、新たにコードを書かなくても、すでにライブラリ、フレームワークと言った部品が公開されています。オープンソースといって、ソースコードを公開、共有する仕組みと文化によって、再利用できるプロジェクトも多数存在します。

また、SaaS(Software as Service)として、月額いくらといったサービスとして提供されているソフトウェアもヤマのようにあります。顧客管理や営業案件管理、財務会計といったビジネス、業務分野でも、多様なものがあります。

近年は特にノーコード開発、ローコード開発と言われる分野が注目されています。要は、これらのツール、サービス、開発手法、つまりデジタルの道具を組み合わせて、自社の業務、現場に最適化する人がいま、もっとも必要とされている人材なのです。

“ノーコード・ローコード開発ツールを活用する”

ここで 2 つ目のアプローチにつながります。現場の要請、業務にマッチした SaaS サービスの導入や、ノーコード・ローコード開発ツールで、現場の課題を解決することから始める方法です。

課題解決、業務改善を進めながら、IT スキルを同時に底上げしていくイメージです。外部の力を借りて課題解決を推進しつつ、そのプロジェクトの中で人材教育も進めていくわけです。少しずつ内製化出来る部分を増やしていくのです。このベクトルを作れると、良い循環が生まれるはずです。

導入初期はコンサルタントや IT ベンダーの支援を得て、一つ一つ課題解決を進めていきます。その活動の中で、少しずつ IT ベンダーから自社スタッフへの技術移転、教育を進めていくわけです。言わば、IT の OJT、On the job training ですね。

ここで鍵となるのが、SaaS サービス、ノーコード・ローコード開発ツールの導入を支援するコンサルタントや IT ベンダーです。こういった開発方法と教育に協力してくれる事業者を選定することがポイントです。

IT 企業とのコラボレーションと内製化

デジタル技術の重要度が高まるにつれて、日本でもようやく IT・デジタル技術者の内製化が進んでいて、自社でソフト開発部門を持つ企業も増えています。事業会社としては、システム開発を内製化することが理想的です。

中小企業では内製化はまだまだ難しい面もありますが、経営者、実務担当者、情報システム担当者、コンサルタント、外部のプログラマといった関係者が協力して、全社的な取り組み体制を構築することが重要です。

人材チャートで見て、右側に協力会社のコンサルタントやエンジニア、プログラマがいるイメージです。ここのつながりを作っていくことです。

念のためですが、社内の担当者と外部の協力会社の間に営業さんが入るような形態では意味がありません。あくまでも現場のスタッフとIT技術者のつながりを作り、技術的交流をすることが大切です。

旧来のベンダー、ITゼネコンと言われるようなところの中には、三次下請け 、四次下請けの先にようやく技術者がいるようなところもありますから、気をつけてください。

IT技術者とのつながり

こうした社内外の人材が交流する場を持つことが、DX の鍵とも言えます。

オープン・イノベーションという言い方もされますが、一般企業がIT企業とコラボレーションして、デジタル化や新規事業の創出、業務改革に取り組む事例も増えています。

エンウィットでも、定期的にお客様を訪問して、講習会や勉強会を開催するなど、多様なスタイルでコラボレーションをしてきました。

プロトタイプを作って現場担当者から意見を収集することもあります。こういうシステムがあったら、どうでしょうか、というコンセプトを確認するためのプロトタイプ開発の工程をPoC と呼びます。

Proof of Concept = 業務システムのコンセプトを検証する工程です。IoT がメディアをにぎわせていた頃、PoC ブームとも言われた時期がありました。しかし、試作機から実用までにはまた多様な壁があり、PoC ばかりで成果が出ない事例も多かったようです。

エンウィットでも、プロトタイプを作って現場の担当者の方にデモをしにいったら、「こういうのが欲しかったんだ。このまま置いていけ」というほど、ぴったりで喜んでいただいたこともありますし、三次試作機と連携アプリまで作ったけど、量産やビジネスモデル上の課題を解決出来ずに実現しなかったものなど、多様なプロジェクトを経験してきました。

いずれにしろ、フットワーク軽くプロトタイプを開発してみる、現在の最新技術を組み合わせるとどのようなことが出来るか、使い勝手を検証する、という工程はとても有効です。

業務改善でも新規市場の開拓でも、こういった検証を素早く行えるメリットは大きなものです。そのためには、ある程度、広範囲の技術を理解していて、プロトタイプ開発を行える IT 技術者が身近にいると役に立つはずです。

活用出来るIT技術者

どんなIT技術者が身近にいると良いか考えてみましょう。自社の課題がネットを使った新規開拓だとしたら、デジタルマーケテイングやネット活用に強い技術者が必要です。

社内のデータ管理に課題があるなら、データベース構築やデータ変換のためのプログラムやスクリプトを書ける技術者が必要です。

自社の状況も変化しますので、その時々で必要な技術も変遷していく可能性があります。従って、出来るだけカバー範囲の広い技術者に、自社の状況や業務を理解して支援してもらうことが理想的です。

エンウィットでは、プロトタイプ開発やPoC、技術検証を行うラボ型開発、勉強会・ワークショップの開催など、具体的な技術やサービス、使い方を紹介する、みなさんの課題を解決するソリューションを提供するためのサービスも用意していますので、参考にしてください。